アーク有限責任監査法人は、2017年3月31日に金融庁から公表された「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)を採用いたしました。つきまして、当社の対応状況を以下のように公表いたします。
原則01
監査法人が果たすべき役割
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ガバナンスコード 原則1
監査法人は、会計監査を通じて企業の財務情報の信頼性を確保し、資本市場の参加者等の保護を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与する公益的な役割を有している。これを果たすため、監査法人は、法人の構成員による自由闊達な議論と相互啓発を促し、その能力を十分に発揮させ、会計監査の品質を組織として持続的に向上させるべきである。
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当社の対応
当社の目的は、公正で厳格な監査を適正な費用で提供することにより、企業の財務情報への信頼性の付与と安心できる社会の実現に向け、企業の長期的な成長と発展をサポートすることであります。 日本経済の活性化に監査を通じて貢献することが、当社の社会的役割であると考えております。 また、業務執行社員が補助者の意見を受け入れる風土を重視しており、業務執行社員が単独でクライアントとの打ち合わせを行い、会計処理等を決めてしまうことは禁止しております。 また、会計監査の品質を持続的に向上させるために、独自の研修プログラムを策定しております。
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ガバナンスコード 1-1
監査法人は、その公益的な役割を認識し、会計監査の品質の持続的な向上に向け、法人の社員が業務管理体制の整備にその責務を果たすとともに、トップ自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすよう、トップの姿勢を明らかにすべきである。
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当社の対応トップの姿勢
当社では、会計監査の品質の持続的な向上のために、理事長がその経営理念を社内の構成員に向けて伝達しており、その結果を受けて、社員及び職員がそれぞれの役割を主体的に果たしております。
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ガバナンスコード 1-2
監査法人は、法人の構成員が共通に保持すべき価値観を示すとともに、それを実践するための考え方や行動の指針を明らかにすべきである。
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当社の対応共通の価値観と行動指針
社内の構成員も重要なステークホルダーと考えているため、理事長からの新年における挨拶等を通じて、共通の価値観と行動指針が全構成員に伝わるようにアナウンスしているとともに、全構成員が遵守すべき「スタッフマニュアル」においてもこれらが明確に示されております。
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ガバナンスコード 1-3
監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的懐疑心や職業的専門家としての能力を十分に保持・発揮させるよう、適切な動機付けを行うべきである。
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当社の対応専門的職員への動機付け
当社では、人事考課における自己申告書を通じて要望を聞くだけでなく、人事考課結果のフィードバックにおいては、理事長自らが直接面談をすることにより、構成員の意見を聞き、組織運営委員会からの答申という形式で全員にその顛末を伝えております。 これらのコミュニケーションでは、理事長より、監査品質の持続的な向上が重要であるという経営方針とともに、職業的懐疑心を十分に発揮するように、各人に伝達されます。その結果を受けて、全構成員がそれぞれの役割を主体的に果たしております。 地方オフィスの構成員については、人事考課時点ではTeamsによる面談となり、対面での面談にはならないことから、理事長や組織運営委員会担当理事は、定期的に全ての地方オフィスに赴き、全員と直接面談することによりコミュニケーションを図っております。
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ガバナンスコード 1-4
監査法人は、法人の構成員が、会計監査を巡る課題や知見、経験を共有し、積極的に議論を行う、開放的な組織文化・風土を醸成すべきである。
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当社の対応開放的な組織文化・風土
当社は、監査業務に携わる監査チームのメンバーはその経験値に応じた業務を行っております。業務報告を通じて、会計・監査に関する問題点の議論が自由に行える環境を整備するように、理事長から社員に対して指示がなされており、監査チームの上位者が判断を押し付けるようなことは決してないように指導がなされています。
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ガバナンスコード 1-5
監査法人は、法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方に加えて、利益相反や独立性の懸念に対し、規模・特性等を踏まえて具体的にどのような姿勢で対応を講じているかを明らかにすべきである。
また、監査法人の構成員に兼業・副業を認めている場合には、人材の育成・確保に関する考え方も含めて、利益相反や独立性の懸念に対して、どのような対応を講じているか明らかにすべきである。 -
当社の対応非監査業務(グループ内含む。)の位置づけ
当社の主な収益源は会計監査業務でありますが、今後のいろいろな働き方を見据えた場合、公認会計士としての専門的能力を生かして別の分野で活躍することも重要であると考えており、実際にそのような業務を希望する者も増加しています。そのため、当社としては、そのような要望に応えるために、業務開発委員会を中心にデューデリジェンス業務やAUP(合意された手続業務)及びIPOを目指すクライアントに対する財務アドバイザリー契約等の非監査業務の受嘱にも注力する方針を継続しております。
また、当社としては、副業・兼業が監査業務に影響を及ぼさないことなどの諸条件を満たすことを前提として、利益相反や独立性に抵触しないことを品質管理部が確認した後に理事長宛に申請があった場合には、個別に検討した結果として、副業・兼業を容認することもあります。
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ガバナンスコード 1-6
監査法人がグローバルネットワークに加盟している場合や、他の法人等との包括的な業務提携等を通じてグループ経営を行っている場合、監査法人は、グローバルネットワークやグループとの関係性や位置づけについて、どのような在り方を念頭に監査法人の運営を行っているのかを明らかにすべきである。
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当社の対応グローバルネットワークやグループ法人との関係性
当社がKreston Global に加入した目的は、当社に見合った国際的会計監査環境の変化に対する情報収集であり、これにより当社の監査品質の継続的向上に資するものであります。このほか人材育成プログラムの提供や最新ニュース等の提供を受けており、監査に関連する問題点等に係る国際的な潮流情報を入手することを加盟の主たる目的としております。
一般的にグローバルネットワークへの加入は監査手法等の使用が強制されるというリスクや経営方針への介入などのリスクがありますが、Kreston Global にはそのような縛りはありません。当社の独自性に鑑みてKreston Globalの監査業務用のツールは使用しない方針であります。
原則02
組織体制の強化
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ガバナンスコード 原則2
監査法人は、会計監査の品質の持続的な向上に向けた法人全体の組織的な運営を実現するため、実効的に経営(マネジメント)機能を発揮すべきである。
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当社の対応
経営管理業務は理事会を中心に行っております。理事会の構成員がそれぞれの管掌を受け持ち、経営の重要事項に関しては理事会決議の下に意思決定を行っております。理事長が理事会の全体を掌握しており、当社の業務運営及び経営管理の全責任は理事長が負っております。
当社の最高意思決定機関は社員会であり、社員会で決定する重要事項が定められていますが、社員会は理事会の運営を監視する組織としても位置付けられております。
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ガバナンスコード 2-1
監査法人は、実効的な経営(マネジメント)機関を設け、組織的な運営が行われるようにすべきである。また、規模・特性等を踏まえて経営機関を設けないとした場合は、実効的な経営機能を確保すべきである。
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当社の対応組織的な運営
当社の運営を行っている組織が、一般事業会社で言う取締役会に相当する理事会になります。理事会の上位に位置するのが社員会であり、監事会とともに理事会及び理事長の行動規範を監視するガバナンス体制をとっております。 理事長及び品質管理担当理事は経営・管理機能を十分に発揮できるように、監査の業務執行社員を担っておりません。 当社の理事会は原則として毎月第2月曜日に開催されておりますが、月次決算報告作業の関係から7営業日以降の任意の日に開催する場合もあります。 当社の業務運営に関しては、理事長が全責任を負っております。
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ガバナンスコード 2-2
監査法人は、会計監査に対する社会の期待に応え、組織的な運営を確保するため、以下の事項を含め、重要な業務運営における経営機関の役割を明らかにすべきである。
- 監査品質に対する資本市場からの信頼に大きな影響を及ぼし得るような重要な事項について、監査法人としての適正な判断が確保されるための組織体制の整備及び当該体制を活用した主体的な関与
- 監査上のリスクを把握し、これに適切に対応するための、経済環境等のマクロ的な観点を含む分析や、被監査会社との間での率直かつ深度ある意見交換を行う環境の整備
- 法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるための人材育成の環境や人事管理・評価等に係る体制の整備
- 監査に関する業務の効率化及び企業においてもデジタル化を含めたテクノロジーが進化することを踏まえた深度ある監査を実現するためのIT基盤の実装化(積極的なテクノロジーの有効活用を含む。)に係る検討・整備
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当社の対応重要な業務運営における経営機関の役割
理事会は、理事長が議長を務めております。また、組織図にある監査業務部・品質管理部・事務管理部の部長は各理事が務めております。さらに、組織図とは別に、組織運営委員会・監査ツール委員会・サステナビリティ委員会・IFRS委員会・研修委員会・採用委員会・業務開発委員会・受嘱審議委員会・福利厚生委員会・衛生委員会・懲罰委員会(非常設)・クレストン2025特別委員会という12の委員会があり、それぞれ理事が分担して委員会運営を担当しております。
- 当社の品質管理部は全員が専任者であり、上場会社等の財務書類に係る監査を実施している監査業務部との兼任は一切行わないという方針の下に、独立性の確保を行っております。品質管理部に所属する社員はCPAAOBの元検査官、シニアマネージャーはJICPAの品質管理レビューアー経験者で構成しております。
- 当社は、監査業務の品質を合理的に確保するために、監査業務の実施に関する品質管理の方針及び手続を品質管理規程及び品質管理マニュアルにおいて定めております。また、監査マニュアル及び監査実施上のガイダンス並びに諸監査ツールを開発・整備して専門要員に対して研修の上、使用させています。クライアントに対してはその社会経済や経営環境に関するヒアリングを行い、共通の認識の下にリスクを特定して、監査上のリスクを明確にする監査手法を採用しております。
- 人財は、採用後は継続的に教育・育成され、継続雇用され、以下のような能力を有するように指導されます。
▷当社が行う業務に関連する知識又は経験を有するなど、質の高い業務を一貫して行えること。
▷当社の品質管理システムの運用に関連する活動を行い、又は責任を果たすこと。
専門要員は、その行動及び姿勢を通じて品質へのコミットメントを示し、その役割を果たすために適切な能力を開発及び維持し、毎年評価され、報酬又は給与が評価に基づき決定され、昇進がなされ、その他のインセンティブ等を通じて、責任を負い評価されます。 - 当社は、品質管理システムの運用及び監査業務の実施・遂行を可能なものとするために、適切なテクノロジー資源を取得又は開発し、利用しております。 また、知的資源についても同様であり、職業的専門家としての基準及び適用される法令等と整合していることを確認の上、当社の監査手法を定めているマニュアルや監査ツール及びその他のガイダンス等を社内で開発し、全ての専門要員が利用できるようになっております。 品質管理システムの運用及び業務の実施・遂行を可能にするために、適切なテクノロジーリソースを取得又は開発し、適用、維持及び利用していることが重要であると認識しております。
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ガバナンスコード 2-3
監査法人は、経営機能を果たす人員が監査実務に精通しているかを勘案するだけではなく、法人の組織的な運営のための機能が十分に確保されるよう、経営機能を果たす人員を選任すべきである。
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当社の対応経営機関の構成員の選任
理事長及び品質管理担当理事は経営・管理機能を十分に発揮できるように、監査の業務執行社員を担っておりません。 当社の業務運営に関しては、理事長が全責任を負っております。 現状では、理事会は10名で構成されております。理事のうち9名は、3年毎に実施される社員による選挙によって選任され、監査法人運営に携わっております。さらに1名は理事長の推薦により1年の任期で選任され、理事長が必要と認める業務を遂行しております。
原則03
経営機能の監督・評価
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ガバナンスコード 原則3
監査法人は、監査法人の経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて、経営の実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。
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当社の対応
当社では3名で構成される監事会を設置しており、監事の過半数は監査及び証券市場に知見のある社外見識者によって構成されています。監事会は、事業年度開始後に年間の監査計画を作成して、監事による業務監査を実施しております。
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ガバナンスコード 3-1
監査法人は、経営機関等による経営機能の実効性を監督・評価し、それを通じて実効性の発揮を支援する機能を確保するため、監督・評価機関を設け、その役割を明らかにすべきである。また、規模・特性等を踏まえて監督・評価機関を設けないとした場合は、経営機能の実効性を監督・評価する機能や、それを通じて実効性の発揮を支援する機能を確保すべきである。
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当社の対応監督・評価機関
監事は、理事会に出席し、理事等による業務運営が適切であるかどうかを監視し、監査法人の運営状況についての客観的な意見を述べています。
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ガバナンスコード 3-2
監査法人は、組織的な運営を確保し、公益的な役割を果たす観点から、自らが認識する課題等に対応するため、独立性を有する第三者の知見を活用すべきである。併せて、当該第三者に期待する役割や独立性に関する考え方を明らかにすべきである。
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当社の対応独立性を有する第三者
監事会は3名で構成されていますが、うち2名は独立した第三者に就任していただいています。
監査法人が実効的な経営機能を発揮することによって、会計監査の品質を確保し、その持続的向上を図り、公益的な役割を果たすことができるように、独立性を有する監事はその知見に基づいて当社の経営機能の実効性を監督・評価し、その組織的な運営及び経営執行体制、監督機能の充実に関する助言・提言を行っています。また、監査法人として適切な業務管理システムが整備運用されているかについて、独立した視点から助言・提言を行っています。
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ガバナンスコード 3-3
監事会は以下の役割を担っており、理事長は、年に1回、監事会より日常業務のヒアリングを受けております。
- 経営機能の実効性向上に資する助言・提言
- 組織的な運営の実効性に関する評価への関与
- 経営機能を果たす人員又は独立性を有する第三者の選退任、評価及び報酬の決定過程への関与
- 法人の人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針の策定への関与
- 内部及び外部からの通報に関する方針や手続の整備状況や、伝えられた情報の検証及び活用状況の評価への関与
- 被監査会社、株主その他の資本市場の参加者等との意見交換への関与
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当社の対応独立性を有する第三者の役割
当社の理事長は、監事会より日常業務に関するヒアリングを受けることにより、下記の役割を担ってもらっています。
- 理事会運営の実効性に関する評価
- 理事長による社員の評価及び報酬の決定過程
- 組織の規模に見合った理事会の構成人員と独立した第三者としての監事の選退任プロセスに対する意見
- 人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針等に関する意見
- 内部及び外部からの通報に関する方針や手続の整備状況、通報された情報の調査及び是正状況の評価
- クライアント、株主その他の資本市場の参加者等との意見交換方法に対する意見
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ガバナンスコード 3-4
監査法人は、監督・評価機関等が、その機能を実効的に果たすことができるよう、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者に対し、適時かつ適切に必要な情報が提供され、業務遂行に当たっての補佐が行われる環境を整備すべきである。
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当社の対応監事会に対する情報提供
監事は、理事会に出席し、理事による業務運営が適切であるかどうかを監視し、運営状況についての客観的な意見を述べています。理事会での審議内容を事前に十分に検討できるように、理事会開催の一定期間前(1週間前)までに理事会での協議資料を各監事に提供しております。
原則04
業務体制の整備
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ガバナンスコード 原則4
監査法人は、規模・特性等を踏まえ、組織的な運営を実効的に行うための業務体制を整備すべきである。また、人材の育成・確保を強化し、法人内及び被監査会社等との間において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。
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当社の対応
理事会は社員に対して監査法人運営の業務執行状況を伝達する必要があることから、決議する議案がない場合であっても、社員会は年に6回を偶数月に開催しており、6月は次年度の予算承認、8月は決算確定の議案が通常の議案以外に追加されておおります。社員会では、理事からの一方的な発言の会議体にならないように、各社員からの発言を積極的に受け付けております。 また、重要な監査上の論点等については、理事会で品質管理担当理事から報告を受け、理事会で検討した結果等を議事録として全ての社員に公開することにより、社員の共通認識として浸透させております。 さらに、当社は、重要な財産である人財には、積極的に投資する経営方針であり、人財の育成・確保を強化しております。また、クライアントとの間においても、監査チームによる経営者ヒアリングやミーティングにおいて、業務品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行っております。
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ガバナンスコード 4-1
監査法人は、経営機関等が監査の現場からの必要な情報等を適時に共有するとともに経営機関等の考え方を監査の現場まで浸透させる体制を整備し、業務運営に活用すべきである。また、法人内において会計監査の品質の向上に向けた意見交換や議論を積極的に行うべきである。
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当社の対応会計監査の品質向上に向けた意見交換
当社では、重要な監査上の論点等については、理事会で品質管理担当理事から報告を受け、理事会で検討した結果等を議事録として全ての社員に公開することにより、社員の共通認識として浸透させております。 監査チームは、個別の監査業務に関する質問等については、審査時点で監査意見が変更にならないように十分留意して、品質管理部に対して専門的な見解の問合せを実施して意見交換を行うこととしております。
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ガバナンスコード 4-2
監査法人は、法人の構成員の士気を高め、職業的専門家としての能力を保持・発揮させるために、法人における人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針を策定し、運用すべきである。その際には、法人の構成員が職業的懐疑心を適正に発揮したかが十分に評価されるべきである。
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当社の対応法人における人材育成、人事管理・評価及び報酬に係る方針
当社では、個別の監査チーム編成では偏りがないようなチーム編成を求めており、人的評価を含む品質管理に関してレポーティング・ラインを設置しています。このレポーティング・ラインは、監査品質の最終責任を負うこととなる理事長と品質管理システムの運用責任者である品質管理担当理事及び組織運営委員会管掌理事のみがアクセスすることができます。
職員の人事考課は、毎年、人事考課方法に関して全ての従業員を対象に説明を行い、人財の士気を高めるような監査品質に対する評価に重点を置いた人事評価制度を整備・運用しております。評価に当たっては、偏りがないように複数人による評価を行っております。
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ガバナンスコード 4-3
監査法人は、併せて以下の点に留意すべきである。
- 法人のそれぞれの部署において、職業的懐疑心を適切に発揮できるよう、幅広い知見や経験につき、バランスのとれた法人の構成員の配置が行われること
- 法人の構成員に対し、例えば、非監査業務の経験や事業会社等への出向などを含め、会計監査に関連する幅広い知見や経験を獲得する機会が与えられること
- 法人の構成員の会計監査に関連する幅広い知見や経験を、適正に評価し、計画的に活用すること
- 法人の構成員が業務と並行して十分に能力開発に取り組むことができる環境を整備すること
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当社の対応人材育成の方針
当社では、経験値の高い人財から低い人財までをバランスよく監査チーム編成することを心がけており、OJTを通じた監査に必要な懐疑心の発揮ができるような人財育成を行っております。 当社ではAUP業務や海外の提携先からの委託業務などの通常の監査業務とは異なった業務を極力経験させるように心がけておりますが、監査に関連する団体以外の事業会社への出向は考えておりません。 構成員の過去の経験等は、組織運営委員会によって本人の希望も考慮しながら、計画的に活用することとしております。 また、テレワークやスライドワークの活用、さらにはMicrosoft365により円滑な連絡及び情報伝達やWeb会議を通じて効率的に業務を実施することにより、監査に限らない自己能力開発に取り組むことができる環境作りを行っているだけでなく、外部の研修機関と契約し、あらゆる分野の研修を受講できるようになっております。
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ガバナンスコード 4-4
監査法人は、被監査会社のCEO・CFO 等の経営陣幹部及び監査役等との間で監査上のリスク等について率直かつ深度ある意見交換を尽くすとともに、監査の現場における被監査会社との間での十分な意見交換や議論に留意すべきである。
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当社の対応被監査会社との間での十分な意見交換や議論
当社はクライアントとのコミュニケーションを重視しており、CEO・CFO等の経営幹部及び監査役等との間での監査上のリスク等に関するコミュニケーションに重点を置き、適切な監査リスクを特定して、十分な意見交換をする方針であります チームミーティングにおいては、対話を通じて監査業務に対する士気の低下を防止する策を実施しております。また、常に職業的懐疑心や職業的専門家としての監査への取組を保持し発揮できるようにしております。
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ガバナンスコード 4-5
監査法人は、内部及び外部からの通報に関する方針や手続を整備するとともにこれを公表し、伝えられた情報を適切に活用すべきである。その際、通報者が、不利益を被る危険を懸念することがないよう留意すべきである。
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当社の対応内部及び外部からの通報
社員及び職員の業務が法令及び定款に適合することを確保するため、各種規程を制定するとともに、研修を通じて周知しております。また、社員及び職員による法令等の違反行為又は違反するおそれのある行為に関して、内部通報制度や外部通報制度を整備しており、ホームページに記載の法律事務所に匿名で伝達ができるようになっております。
法律事務所では、通報者が不利な取扱いを受けないように保護されることとなっております。このようにして、法令順守の実効性を担保しております。
原則05
透明性の確保
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ガバナンスコード 原則5
監査法人は、本原則の適用状況などについて、資本市場の参加者等が適切に評価できるよう、十分な透明性を確保すべきである。また、組織的な運営の改善に向け、法人の取組みに対する内外の評価を活用すべきである。
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当社の対応
当社の主たる業務である監査業務が社会の期待に応え得るようにするためには、当社の業務運営上の考え方だけでなく、様々な資本市場のステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを通じて、社会からの期待についての理解をアップデイトし、当社の業務運営方針に反映させることが必要であると考えております。 そのために、能動的な取組として、業務開発委員会が中心となって外部の証券会社等の市場参加者からの意見聴取を行い、理事会は、その結果の報告を受けて経営上の判断材料としております。なお、この意見聴取においては、当社のホームページで公開している監査法人のガバナンス・コードの適用状況についても、意見を伺っております。
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ガバナンスコード 5-1
監査法人は、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等が評価できるよう、本原則の適用の状況や、会計監査の品質の向上に向けた取組みについて、一般に閲覧可能な文書等で、わかりやすく説明すべきである。
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当社の対応会計監査の品質向上に向けた取組みについての閲覧体制
監査品質向上のための取組として、日本公認会計士協会のホームページの「上場会社の監査を担う中小監査事務所のトップメッセージサイト」において動画や法人情報を公開するとともに、当社のホームページにおいても動画を公開しております。このような動画の公開により、様々な資本市場のステークホルダーの皆様からのお問い合わせや積極的なご意見を通じて、コミュニケーションを図ることとしております。ホームページ等を通じて得られた意見については、理事会で協議し、改善が必要と認められる事項については改善計画を立案し、当社の取組状況を変更することとしております。
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ガバナンスコード 5-2
監査法人は、品質管理、ガバナンス、IT・デジタル、人材、財務、国際対応の観点から、規模・特性等を踏まえ、以下の項目について説明すべきである。
- 会計監査の品質の持続的な向上に向けた、自ら及び法人の構成員がそれぞれの役割を主体的に果たすためのトップの姿勢
- 法人の構成員が共通に保持すべき価値観及びそれを実践するための考え方や行動の指針
- 監査法人の中長期的に目指す姿や、その方向性を示す監査品質の指標(AQI:Audit Quality Indicator)又は会計監査の品質の向上に向けた取組みに関する資本市場の参加者等による評価に資する情報
- 監査法人における品質管理システムの状況
- 経営機関等の構成や役割
- 監督・評価機関等の構成や役割。独立性を有する第三者の選任理由、役割、貢献及び独立性に関する考え方
- 法人の業務における非監査業務(グループ内を含む。)の位置づけについての考え方、利益相反や独立性の懸念への対応
- 監査に関する業務の効率化及び企業におけるテクノロジーの進化を踏まえた深度ある監査を実現するためのIT基盤の実装化に向けた対応状況(積極的なテクノロジーの有効活用、不正発見、サイバーセキュリティ対策を含む。)
- 規模・特性等を踏まえた多様かつ必要な法人の構成員の確保状況や、研修・教育も含めた人材教育方針
- 特定の被監査会社からの報酬に左右されない財務基盤が確保されている状況
- 海外子会社等を有する被監査会社の監査への対応状況
- 監督・評価機関等を含め、監査法人が行った、監査品質の向上に向けた取組みの実効性の評価
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当社の対応運営方針
当社の規模及び特性等を踏まえた運営方針としては、以下のようなものがあります。
- 会計監査の品質の持続的な向上のために、理事長が経営理念を社内外に向けて公表しております。
- 経営理念を当社の構成員が共通の価値観として継続的に保持できるように、スタッフマニュアルにおいて示しております。
- クライアントに適切な監査業務を提供するためには、バランスの取れた人員構成が必要であると認識しております。適切な監査を行っていくためには適切な人員構成を目指し、実現できたならばそれを維持しなければなりません。そのために、いくつかの指標について当社としての目標値を定めており、その目標値に近くなるように運営しております。この結果、ステークホルダーに当社の適切な監査実施体制の一要因が理解されるとともに、監査品質の向上にもつながると確信しております。当社は、この「監査品質のマネジメントに関する年次報告書」においてKPIとして8項目のAQIを示しております。
- 品質管理システムに関して、理事長が最終的な責任を負っております。また、品質管理システムに関する整備及び運用に関する責任は品質管理担当理事が負っております。これに加え、各業務プロセスにおける品質管理に関する責任は管掌する理事が負っております。監査業務部担当理事が、セルフアセスメントシートにより事業年度を通じてモニタリングを行うとともに、不備が識別された場合には、その重要性と広範性を勘案して、根本原因に応じて識別された不備に対処するための是正措置を講じております。
- 経営管理業務は理事会を中心に行っております。理事会の構成員がそれぞれの管掌を受け持ち、経営の重要事項に関しては理事会決議の下に意思決定を行っております。理事長が理事会の全体を掌握しており、当社の業務運営及び経営管理の全責任は理事長が負っております。また、最高意思決定機関は社員会であり、社員会で決定する重要事項が定められていますが、社員会は理事会の運営を監視する組織としても位置付けられております。さらに、当社では3名で構成される監事会を設置しており、監事の過半数は監査及び証券市場に知見のある社外見識者によって構成されています。監事会は、事業年度開始後に年間の監査計画を作成して、監事による業務監査を実施しております。
- 監査法人が実効的な経営機能を発揮することによって、会計監査の品質を確保し、その持続的向上を図り、公益的な役割を果たすことができるように、独立性を有する監事はその知見に基づいて当社の経営機能の実効性を監督・評価し、その組織的な運営及び経営執行体制、監督機能の充実に関する助言・提言を行っております。また、監査法人として適切な業務管理システムが整備運用されているかについて、独立した視点から助言・提言を行っております。
- 当社としては、業務開発委員会を中心にデューデリジェンス業務やAUP及びIPOを目指すクライアントに対する財務アドバイザリー契約等の非監査業務の受嘱にも注力する方針を継続しております。なお、いわゆるコンサルティング業務については、積極的には実施しない方針であります。しかしながら、構成員のコンサルティング能力を高めたいという要望もあることから、構成員にとって有益であると考えられるコンサルティング業務の機会がある場合にはその業務内容から利害関係及び独立性を慎重に判断して、監査業務に支障が生じない範囲内において実施することとしております。
- IT基盤の整備及び運用については「情報システム管理規程」及び「情報システム管理マニュアル」に基づいて事務管理部ITサポートグループが所管しております。当社では、2020年より全ての監査業務に電子監査調書システムを導入し、原則として全ての監査調書を電子化しております。全職員(非常勤者を含む。)に貸与している物理PC(ノートPC)の紛失による情報漏洩への対策及びリモートワーク環境整備として、外部アプリケーションを利用した物理PCのハードディスク断片化(暗号化)技術による情報漏洩対策、及びマルウェアやサイバー攻撃に対応するため物理PCで起こる不審な動きをリアルタイムで監視・検知する防御対策、並びにセキュリティ機能を備えたVPNソフトウェアの導入を行っております。また、クラウド環境でファイルサーバ、監査調書データサーバ、ディレクトリサーバ等を運用し、日次で国内サイトへのバックアップを実施することで、ハードウェア等の故障、自然災害等による監査調書データ及び管理データの消去並びにサービス停止のリスクを低減するともに、業務を継続する体制を整備しております。あわせて、社会環境や働き方の変化への柔軟な対応、効率的な業務時間の使い方を追求しており、そのためのIT関連投資金額を年々増加させています。
- 当社は、パートナーと言われる社員の数が多いという特徴があります。監査チーム編成は各クライアントの状況に応じて組成されますので、監査チームの構成は一概には言えないものであります。おおよそではありますが、職位としては業務を執行する社員、シニアマネージャーからシニアまで、並びにジュニアが同数程度、そこに約半分のアシスタントが在籍しており、1:1:1:0.5という構成で監査業務に従事するようなチーム構成になっております。研修方針策定に際して重視したものの一つは、「監査品質の向上を図る研修の充実」でもう一つは「ランク別研修の充実」です。なお、監査品質の維持・向上のためには、現行の監査の基準が求める水準を理解することが必要であるため、常に1名はJICPAの品質管理レビューアーとして出向させる方針であります。これによりレビューアーの視点を会得することができるため、復職した時点ではその経験を監査実務で発揮できるように、監査業務部に戻る人事を行っております。
- 独立性の問題により、特定のクライアントに対する依存度が高い場合は、将来において監査業務を自ら辞退しなければならなくなります。当社は15%ルールには抵触しておらず、監査業務の報酬依存度に関するサステナビリティでの危惧はありません。
- 海外の監査人とのミーティングや監査調書のレビュー等が必要不可欠なものとなってきております。海外の監査人とのミーティングは、監査計画段階・監査の実施段階・監査結果のまとめ段階などそれぞれの時点で、往査やZoomなどによるビデオ会議又はEメール等で実施されます。監査基準報告書600「グループ監査における特別な留意事項」に対応する必要がありますが、クライアントとの早期の調整も必要であり、海外の構成単位の監査人とのコミュニケーションがポイントになります。当社では、英語だけでなく中国語も対応可能な人員を擁しており、海外の監査人とのコミュニケーションも円滑に進められる体制が整っております。
- 監査業務部担当理事が、セルフアセスメントシートにより事業年度を通じてモニタリングを行うとともに、不備が識別された場合には、その重要性と広範性を勘案して、根本原因に応じて識別された不備に対処するための是正措置を講じております。理事長は、これらのプロセスの結果を踏まえて、2025年6月30日を評価基準とする評価を実施した結果、当社の品質管理システムは、その目的が達成されているという合理的な保証を当社に提供していると評価しております。
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ガバナンスコード 5-3
グローバルネットワークに加盟している監査法人や、他の法人等との包括的な業務提携等を通じてグループ経営を行っている監査法人は、以下の項目について説明すべきである。
- グローバルネットワークやグループの概略及びその組織構造並びにグローバルネットワークやグループの意思決定への監査法人の参画状況
- グローバルネットワークへの加盟やグループ経営を行う意義や目的
(会計監査の品質の確保やその持続的向上に及ぼす利点やリスクの概略を含む。) - 会計監査の品質の確保やその持続的向上に関し、グローバルネットワークやグループとの関係から生じるリスクを軽減するための対応措置とその評価
- 会計監査の品質の確保やその持続的向上に重要な影響を及ぼすグローバルネットワークやグループとの契約等の概要
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当社の対応グローバルネットワーク加盟とグループ経営
当社は2015年10月16日に、世界第14位(2024年11月時点)の国際的会計事務所ネットワークであるクレストン・グローバル(Kreston Global)にメンバーとして加盟しました。
- Kreston Globalは、世界114か国に160のファーム、総勢27,000名を超えるプロフェッショナルスタッフを擁するグローバルネットワークであり、監査、税務、アドバイザリー(コーポレートファイナンス)、リスクコンサルティングサービス等を提供しています。Kreston Globalとの契約は、当社に大きな制約があるものではありませんが、ワールドカンファレンスと当社が属するアジア・パシフィックカンファレンスのいずれかに出席する義務はあります。
- 当社がKreston Global に加入した目的は、当社に見合った国際的会計監査環境の変化に対する情報収集であり、これにより当社の監査品質の継続的向上に資するものであります。このほか人材育成プログラムの提供や最新ニュース等の提供を受けており、監査に関連する問題点等に係る国際的な潮流情報を入手することを加盟の主たる目的としております。
- Kreston Global が適切な情報伝達ができているという保証はないというリスクは残ります。このため、当社としては日本公認会計士協会からの情報発信には十分に注意してそのリスクを軽減しています。
- 会計監査の品質の確保やその他持続的監査品質の向上に重要な影響を及ぼすようなKreston Global との契約はありません。
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ガバナンスコード 5-4
監査法人は、会計監査の品質の向上に向けた取組みなどについて、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等との積極的な意見交換に努めるべきである。その際、監督・評価機関の構成員又は独立性を有する第三者の知見を活用すべきである。
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当社の対応積極的な意見交換
業務開発委員会が中心となって外部の証券会社等の市場参加者からの意見聴取を行い、理事会は、その結果の報告を受けて経営上の判断材料としております。なお、この意見聴取においては、当社のホームページで公開している監査法人のガバナンス・コードの適用状況についても、意見を伺っております。また、監査品質向上のための取組として、日本公認会計士協会のホームページの「上場会社の監査を担う中小監査事務所のトップメッセージサイト」において動画や法人情報を公開するとともに、当社のホームページにおいても動画を公開しております。
このような動画の公開により、様々な資本市場のステークホルダーの皆様からのお問い合わせや積極的なご意見を通じて、コミュニケーションを図ることとしております。
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ガバナンスコード 5-5
監査法人は、本原則の適用の状況や監査品質の向上に向けた取組みの実効性を定期的に評価すべきである。
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当社の対応監査品質の向上に向けた取組みの実効性を確保
当社は、品質管理システムの一環として、「監査品質マネジメントマニュアル」において定めたセルフアセスメントシートによって品質管理目的を阻害するリスクを検討し、その対応状況を確認しました。当社のセルフアセスメントシートを使用したモニタリングは、監査業務部担当理事により適宜に行われ、理事長及び品質管理担当理事に報告され、必要な改善実施がなされました。リスク評価は、反復的なプロセスであり、新たなリスクが確認された場合、又は既存のリスクが関連性を失ったと判断された場合には、リスク評価は更新されることになります。
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ガバナンスコード 5-6
監査法人は、資本市場の参加者等との意見交換から得た有益な情報や、本原則の適用の状況などの評価の結果を、組織的な運営の改善に向け活用すべきである。
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当社の対応組織的な運営改善
業務開発委員会が中心となって外部の証券会社等の市場参加者からの意見聴取を行い、理事会は、その結果の報告を受けて経営上の判断材料としております。なお、この意見聴取においては、当社のホームページで公開している監査法人のガバナンス・コードの適用状況についても、意見を伺っております。また、監査品質向上のための取組として、日本公認会計士協会のホームページの「上場会社の監査を担う中小監査事務所のトップメッセージサイト」において動画や法人情報を公開するとともに、当社のホームページにおいても動画を公開しております。このような動画の公開により、様々な資本市場のステークホルダーの皆様からのお問い合わせや積極的なご意見を通じて、コミュニケーションを図ることとしております。