会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」の改正について(公開草案)(2023年10月6日 日本公認会計士協会)

日本公認会計士協会(会計制度委員会)は、企業会計基準委員会(Accounting Standards Board of Japan:ASBJ)から2023年10月6日に公表された企業会計基準適用指針公開草案第80号(企業会計基準適用指針第2号の改正案)「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針(案)」及び企業会計基準適用指針公開草案第81号(企業会計基準適用指針第28号の改正案)「税効果会計に係る会計基準の適用指針(案)」(以下、これらを合わせて「自己株式等会計適用指針案等」という。)に対応するため、会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」(以下「資本連結実務指針」という。)について見直しを行いました。公開草案を公表し、広く意見を求めています。

改正内容

資本連結実務指針の主な改正内容は、以下のとおり。

(1) 子会社株式を配当した場合の会計処理

保有する完全子会社株式のすべて又は一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社に該当しなくなった場合、以下のとおり、連結財務諸表上の会計処理を行うことにした。

① 配当前の投資の修正額(付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金を除く。)とこのうち配当後の株式に対応する部分との差額

連結株主資本等変動計算書上の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、子会社株式の配当に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上。

② 個別財務諸表上の取得価額に含まれている付随費用及び子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分に対応する額

連結財務諸表上、配当により個別財務諸表で計上したその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額を修正する。個別財務諸表で計上したその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)の減額については、付随費用のうち配当した部分に対応する額を修正する。また、子会社株式の追加取得等によって生じた資本剰余金のうち配当した部分に対応する額を修正する。

③ 残存する当該被投資会社に対する投資(支配を喪失して関連会社になった場合)

当該会社の個別貸借対照表はもはや連結されないため、連結貸借対照表上、親会社の個別貸借対照表に計上している当該関連会社株式の帳簿価額は、投資の修正額のうち配当後持分額が加減されることで、持分法による投資評価額に修正される。この場合、当該持分法による投資評価額には支配喪失以前に費用処理した支配獲得時の取得関連費用を含めません(資本連結実務指針第46-2項)。同様にのれんの未償却額の取扱いは、子会社株式を売却し当該会社に対する支配を喪失して関連会社になった場合ののれんの未償却額の取扱い(資本連結実務指針第45-2項)に準じて行う。

④ 残存する当該被投資会社に対する投資(支配を喪失して関連会社にも該当しなくなった場合)

残存する当該被投資会社に対する投資は、個別貸借対照表上の帳簿価額をもって評価するため、完全子会社株式の一部を配当し当該被投資会社に対する投資が残る場合には、配当後の投資の修正額は取り崩し、当該取崩額を連結株主資本等変動計算書の利益剰余金とその他の包括利益累計額の区分に、連結除外に伴う増減等その内容を示す適当な名称をもって計上する。

意見期限:2023年12月6日(水)まで

(日本公認会計士協会 ホームページ

 https://jicpa.or.jp/specialized_field/20231006ruy.html )