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「企業結合に関する会計基準」及び関連する他の改正会計基準等の公表(平成25年9月13日 企業会計基準委員会)
企業会計基準委員会では、企業結合に関する会計基準等について、ステップ1とステップ2とに区分して見直しが行われており、ステップ1については平成20年12月に完了しています。その後、既存の差異に関連するプロジェクト項目として、ステップ2の検討を進め、主に、国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)の企業結合に関する共同プロジェクト(フェーズ2)で取り上げられた論点を対象として審議が行われ、今般以下の企業会計基準及びその適用指針が公表されました。
• 改正企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」(以下「企業結合会計基準」という。)
• 改正企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)
• 改正企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」(以下「事業分離会計基準」という。)
• 改正企業会計基準第5号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」
• 改正企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」(以下「株主資本会計基準」という。)
• 改正企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」
• 改正企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」(以下「EPS会計基準」という。)
• 改正企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(以下「結合分離適用指針」という。)
• 改正企業会計基準適用指針第8号「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準等の適用指針」
• 改正企業会計基準適用指針第9号「株主資本等変動計算書に関する会計基準の適用指針」(以下「株主資本適用指針」という。)
• 改正企業会計基準適用指針第4号「1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用指針」(以下「EPS適用指針」という。)
<本会計基準等の概要>
●非支配株主持分の取扱い
・ 支配が継続している場合の子会社に対する親会社の持分変動(連結会計基準第26 項、第28 項から第30 項、事業分離会計基準第17 項から第19 項)
親会社の持分変動による差額は、資本剰余金に計上するようこととした。なお、改正前の「少数株主持分」は、「非支配株主持分」へ変更することとした。
・当期純利益の表示(連結会計基準第39 項)
「少数株主損益調整前当期純利益」を「当期純利益」とした。これに伴い、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」とした。また、2 計算書方式の場合には、「当期純利益」に「非支配株主に帰属する当期純利益」を加減して「親会社株主に帰属する当期純利益」を表示することとし、1 計算書方式の場合には、「当期純利益」の直後に、「親会社株主に帰属する当期純利益」及び「非支配株主に帰属する当期純利益」を付記することとした。
・ その他
(1) 連結株主資本等変動計算書の表示区分における「少数株主持分」を「非支配株主持分」へ、利益剰余金の変動事由における「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」へ改めた。(株主資本会計基準第7 項及び株主資本適用指針第6 項)。
また、非支配株主との取引及び取得関連費用に関する定めについて過去の期間のすべてに新たな会計方針を遡及適用した場合の、適用初年度の期首時点の累積的影響額を適用初年度の期首の資本剰余金及び利益剰余金に加減する経過的な取扱いが定められたことに伴い所要の改正を行った(株主資本会計基準第5-2 項)。
さらに、暫定的な会計処理の確定の処理が改正されたことに伴い、暫定的な会計処理の確定年度の株主資本等変動計算書のみの表示が行われる場合の取扱いについても所要の改正が行った(株主資本会計基準第5-3 項)。
(2) EPS 会計基準の適用に当たっては、連結財務諸表において、連結損益計算書上の「当期純利益」は「親会社株主に帰属する当期純利益」、連結損益計算書上の「当期純損失」は「親会社株主に帰属する当期純損失」とするものとした(EPS 会計基準第12 項)。
・ 取得関連費用の取扱い(企業結合会計基準第26 項及び第49 項)
企業結合における取得関連費用のうち一部について取得原価に含めることとしていたが、発生した事業年度の費用として処理することとした。また、主要な取得関連費用を注記により開示することとした。
なお、個別財務諸表における子会社株式の取得原価は、従来と同様に、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」及び日本公認会計士協会会計制度委員会報告第14 号「金融商品会計に関する実務指針」に従って算定される。
・暫定的な会計処理の確定の取扱い(企業結合会計基準 、結合分離適用指針第70 項、第73 項、EPS 会計基準第30-6 項及びEPS 適用指針第36-3 項)
暫定的な会計処理の確定が企業結合年度の翌年度に行われた場合、企業結合年度に当該確定が行われたとしたときの損益影響額を企業結合年度の翌年度において特別損益に計上することとしていたが、本会計基準等では、企業結合年度の翌年度の財務諸表と併せて企業結合年度の財務諸表を表示するときには、当該企業結合年度の財務諸表に暫定的な会計処理の確定による取得原価の配分額の見直しを反映させることとした。その場合、当該企業結合年度の翌年度の財務諸表と併せて表示する企業結合年度の財務諸表の1株当たり当期純利益、潜在株式調整後1株当たり当期純利益及び1株当たり純資産は、当該見直しが反映された後の金額により算定する。
・適用時期(企業結合会計基準第58-2 項、連結会計基準第44-5 項及び事業分離会計基準第57-4項)
(1) 連結会計基準第39 項の表示方法に係る事項については、平成27 年4 月1 日以後開始する連結会計年度の期首から適用するものとし、早期適用は認められない。なお、当期の連結財務諸表に併せて表示されている過去の連結財務諸表の組替えを行う。
(2) 上記以外の事項(子会社株式の追加取得等の会計処理、取得関連費用の取扱い、暫定的な会計処理の確定の取扱い)については、平成27 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首(暫定的な会計処理の確定の取扱いは平成27 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後実施される企業結合)から適用する。ただし、連結会計基準第39 項の表示方法に係る事項を除くすべての取扱いを同時に適用する場合には、平成26年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首(暫定的な会計処理の確定の取扱いは平成26 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首以後実施される企業結合)から適用することができる。
(3)(2)の適用にあたっては、非支配株主との取引及び取得関連費用に関する定めについて過去の期間のすべてに新たな会計方針を遡及適用した場合の、適用初年度の期首時点の累積的影響額を適用初年度の期首の資本剰余金及び利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針が適用する。
(4)(3)によらず、本会計基準が定める新たな会計方針を、適用初年度の期首から将来にわたって適用することができる。
・本会計基準等の改正の対象としなかった論点
(1) のれんについては、平成21 年7 月の「企業結合会計の見直しに関する論点の整理」の公表後、国際的な会計基準と同様に非償却とすべきかどうかについて審議されてきたが、現状では、連結財務諸表及び個別財務諸表ともに会計基準を改正することについて市場関係者の合意形成が十分に図られていない状況にあると考えられる。また、2011 年11 月にIASB に対してのれんを非償却とする国際財務報告基準(IFRS)第3 号「企業結合」の取扱いに係る適用後レビューの必要性の提案が行われている。これらの点を踏まえ、本会計基準等においても現行の償却処理が継続されることとした。
(2) 子会社に対する支配を喪失した場合の残存の投資に係る会計処理についても、国際的な会計基準との差異は存在するが、この会計処理については、事業分離等会計基準や金融商品会計基準等の他の会計基準にも影響する横断的な論点であることに加え、段階取得の検討経緯(企業結合会計基準第88 項から第93 項)を踏まえると、実務における段階取得の適用状況をまず検証すべきという意見もある。これらの点を踏まえ、今後、段階取得の適用状況の調査を含む、企業結合に係る実態調査を適切な時期に始めることとし、そのうえで、我が国の会計基準を取り巻く状況も踏まえて、会計処理の検討に着手する時期が判断される。
(3) さらに、全部のれん方式の採用の可否、条件付取得対価の取扱い、企業結合に係る特定勘定の取扱い等については、改正することにより財務報告の改善が図られるか否かについて意見が分かれているものや、改正の必要性や適時性に乏しいという意見が大半を占めているものであるため、本会計基準等の改正の対象とはせず、継続検討課題となった。
なお、本会計基準等の公開草案において、実務対応報告第18 号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」及び実務対応報告第24 号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」(以下両者をあわせて「実務対応報告18 号等」という。)を本会計基準等の公表による他の会計基準等についての修正に含めていたが、実務対応報告18 号等の改正が別途検討されているため、本会計基準等では当該修正の対象に含めていない。
(企業会計基準委員会 ホームページ
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/bc_revise_2012ed/)
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