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企業会計基準公開草案第60号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(案)」等の公表(平成29年6月6日 企業会計基準委員会)

 平成10年10月に企業会計審議会から「税効果会計に係る会計基準」(以下「税効果会計基準」という。)が公表され、当該会計基準を受けて、日本公認会計士協会から実務指針が公表されています。これらの会計基準及び実務指針に基づきこれまで財務諸表の作成実務が行われてきましたが、企業会計基準委員会は、基準諮問会議の提言を受けて、日本公認会計士協会における税効果会計に関する実務指針について、同委員会に移管すべく審議を行っています。このうち、繰延税金資産の回収可能性に関する定め以外の税効果会計に関する定めについて、基本的にその内容を踏襲した上で、必要と考えられる見直しを行うこととし、主として開示に関する審議を重ねていました。
 今般、平成29年5月30日開催の第361回企業会計基準委員会において、以下の企業会計基準及び企業会計基準適用指針の公開草案(以下合わせて「本公開草案」という。)の公表が承認されましたので、同日公表されました。
 企業会計基準公開草案第60号
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(案)」(以下「税効果会計基準一部改正案」という。)
 企業会計基準適用指針公開草案第58号
「税効果会計に係る会計基準の適用指針(案)」(以下「税効果適用指針案」という。)
 企業会計基準適用指針公開草案第59号(企業会計基準適用指針第26号の改正案)
「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」(以下「回収可能性適用指針案」という。)
 企業会計基準適用指針公開草案第60号
「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針(案)」(以下「中間税効果適用指針案」という。)
<本公開草案の概要>
●会計処理
(会計処理の見直しを行った主な取扱い)
・個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱い(税効果適用指針案第8項(2))
 現行の取扱いでは、個別財務諸表における子会社株式及び関連会社株式(以下合わせて「子会社株式等」という。)に係る将来加算一時差異について、一律、繰延税金負債を計上することとされている。
 本公開草案においては、個別財務諸表における子会社株式等に係る将来加算一時差異の取扱いを、連結財務諸表における子会社及び関連会社に対する投資に係る将来加算一時差異の取扱いに合わせ、親会社又は投資会社がその投資の売却等を当該会社自身で決めることができ、かつ、予測可能な将来の期間に、その売却等を行う意思がない場合を除き、繰延税金負債を計上する取扱いに見直すことを提案している。
・(分類1)に該当する企業における繰延税金資産の回収可能性に関する取扱い(回収可能性適用指針案第18項)
 回収可能性適用指針案第18項では、「(分類1)に該当する企業においては、原則として、繰延税金資産の全額について回収可能性があるものとする。」と「原則として、」を追加する提案を行っている。これは、例えば、完全支配関係にある国内の子会社株式の評価損について、企業が当該子会社を清算するまで当該子会社株式を保有し続ける方針がある場合等、将来において税務上の損金に算入される蓋然性が低いときに当該子会社株式の評価損に係る繰延税金資産の回収可能性はないと判断することも考えられることを明確にするものである。
(会計処理の見直しを行わなかった主な取扱い)
・未実現損益の消去に係る税効果会計(税効果適用指針案第129項から第133項)
 未実現損益の消去に係る税効果会計について、国際的な会計基準との整合性の観点から資産負債法に変更するかどうかの審議を行った。審議の結果、当該変更により企業によっては多大なコストが生じる可能性がある等の意見を踏まえ、本公開草案においては、未実現損益の消去に係る税効果会計については、繰延法を継続して採用することを提案している。
●開示
 税効果会計基準一部改正案においては、税効果会計基準及び同注解のうち開示(表示及び注記事項)に関する事項を改正する提案を行っている。
・表示(税効果会計基準一部改正案第2項)
 現行の取扱いでは、繰延税金資産及び繰延税金負債は、これらに関連した資産・負債の分類に基づいて、繰延税金資産については流動資産又は投資その他の資産として、繰延税金負債については流動負債又は固定負債として表示しなければならないとされている。
本公開草案においては、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示することを提案している。
・注記事項
 回収可能性適用指針の公開草案(平成27年5月に公表)においては、注記事項に関する質問項目を設けて、コメントを募集した。当該公開草案において寄せられたコメントに加えて、財務諸表利用者が税効果会計に関連する注記事項を利用する目的やその分析内容、実際に利用している情報を検討した上で現状において不足している情報を識別し、次の注記事項を提案している。
(1) 評価性引当額の内訳に関する情報(税効果会計基準一部改正案第4項)
① 評価性引当額の内訳に関する数値情報
本公開草案においては、財務諸表利用者による税負担率の予測及び繰延税金資産の回収可能性に関する不確実性の評価に資するように、評価性引当額の内訳に関する数値情報として、繰延税金資産の発生原因別の主な内訳(以下「発生原因別の注記」という。)として税務上の繰越欠損金を記載している場合であって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、これまで発生原因別の注記に示されていた評価性引当額の合計額を、税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額と将来減算一時差異等の合計に係る評価性引当額に区分して記載することを提案している。
② 評価性引当額の内訳に関する定性的な情報
財務諸表利用者が評価性引当額の内容を理解し、税負担率に影響が生じている原因を分析することに資するように、評価性引当額に関する定性的な情報として、評価性引当額(合計額)に重要な変動が生じている場合、当該変動の主な内容を記載することを提案している。
(2) 税務上の繰越欠損金に関する情報(税効果会計基準一部改正案第5項)
① 税務上の繰越欠損金に関する繰越期限別の数値情報
本公開草案においては、財務諸表利用者による税負担率の予測に資するように、発生原因別の注記として税務上の繰越欠損金を記載している場合であって、当該税務上の繰越欠損金の額が重要であるときは、税務上の繰越欠損金に関する数値情報として、繰越期限別に次の数値を記載することを提案している。
・税務上の繰越欠損金の額に税率を乗じた額(発生原因別の注記に記載されている額)
・税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額
・税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の額
② 税務上の繰越欠損金に関する定性的な情報
税務上の繰越欠損金に関する数値情報が繰越期限別に開示されても、税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を計上している場合、財務諸表利用者が当該繰延税金資産の回収可能性に関する不確実性を評価できないため、当該不確実性の評価に資するように、税務上の繰越欠損金に関する定性的な情報として、税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由を記載することを提案している。
(3) 連結財務諸表を作成している場合の個別財務諸表における注記事項(税効果会計基準一部改正案第4項及び第5項)
 財務諸表利用者は、税効果会計に関する注記事項を利用し分析を行う場合、連結財務諸表における注記事項については、税制の異なる複数の連結会社の情報が集計され、理解が相当程度困難であることから、個別財務諸表における注記事項を参考として分析を行っているものと考えられる。
本公開草案では、評価性引当額の内訳に関する情報及び税務上の繰越欠損金に関する情報を連結財務諸表における注記事項に追加しており、それにより連結財務諸表に計上されている繰延税金資産や評価性引当額の内容について財務諸表利用者における理解が深まると考えられるが、コストと便益の比較の観点から、個別財務諸表においてもこれらの注記事項を追加すべきかどうかについて論点となった。
この論点に関して、次の事項については、財務諸表利用者の分析において、連結財務諸表における注記事項の理解に重要な影響が生じることは比較的限定的であると考えられるため、連結財務諸表を作成している場合に個別財務諸表において当該注記事項の記載を要しないことを提案している。
・評価性引当額の合計額に重要な変動が生じている場合の主な変動内容(上記(1)②参照)
 個別財務諸表における評価性引当額は回収可能性適用指針に従って計上されていることから、評価性引当額の合計額に重要な変動が生じている場合の主な内容は、発生原因別の注記においてスケジューリング可能なものか不能なものかを推測することによりある程度理解し得ることが少なくないと考えられる。
・税務上の繰越欠損金に関する繰越期限別の数値情報(上記(2)①参照)
 税務上の繰越欠損金に係る評価性引当額が記載されている場合、税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産の額を算定することができる。また、我が国の税法に基づくため、個別財務諸表における発生原因別の注記の推移や財務情報以外における一定期間の業績推移の開示により、重要な税務上の欠損金が生じた時期が特定できれば、どの時期に繰越期限となるかについて、理解し得ることがあると考えられる。
・税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を計上している場合、当該繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由(上記(2)②参照)
 税務上の繰越欠損金に係る重要な繰延税金資産を回収可能と判断した主な理由については、財務諸表提出会社においては個別財務諸表が開示されていることに加えて、子会社に比べると財務情報以外についての開示も比較的多く、将来の収益力について開示されていることもあるため、これらの情報と併せて分析することにより、理解し得ることが少なくないと考えられる。
 したがって、本公開草案では、連結財務諸表を作成している場合、個別財務諸表における税効果会計に関する注記事項については、評価性引当額の内訳に関する数値情報のみを追加することを提案している。
(企業会計基準委員会 ホームページ
 https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2017/2017-0606.html

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