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過去の誤謬の修正再表示について ~各法制度との関係(その2)~

前回に引き続き、過去の誤謬による修正再表示に関して、

各種法制度との関係での疑問をQ&A形式でまとめてみましたので、実務での参考にしていただければと思います。

 

今回は、会社法との関係(Q4)と税法との関係(Q5、Q6)について、取り上げていきます。

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会計基準の適用

Q1.過去の誤謬があった場合には、必ず修正再表示をしなければならないのでしょうか?

金商法関係
Q2.誤謬による修正再表示を行った場合、金商法における訂正報告書を出す必要はあるのでしょうか?
Q3.誤謬による修正再表示があった場合、過去の内部統制評価には影響を与えるのでしょうか?

会社法関係
Q4.誤謬による修正再表示を行った場合、会社法の過年度の計算書類の取り扱いはどうなるのでしょうか?

税法関係
Q5.法人税の追徴などがあった場合には、修正再表示は必要でしょうか?
Q6.過去の誤謬を発見して修正再表示を行った場合、税務申告書はどのようになるのでしょうか?

 

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会社法関係

Q4.誤謬による修正再表示を行った場合、会社法の過年度の計算書類の取り扱いはどうなるのでしょうか?

A4.過年度に確定した計算書類の修正を行う必要はありません。

 

過去の誤謬による修正再表示は、過去に確定した決算を修正するものではないため、

過年度の計算書類の修正は行わずに、当期の計算書類の期首残高のみを修正することになります。

すなわち、前期末の期末残高に、過去の誤謬の訂正による累積的影響額を加えたものを、

当期の期首残高として表示することになります。

 

一方、分配可能利益がマイナスになるなど、計算書類の確定を妨げるほどの重要な誤謬があった場合には、

修正再表示に先立ち、過年度の計算書類を修正して、

再確定の手続(監査役や会計監査人による監査、取締役会の承認手続など)を行うことが考えられます。

ただし、これは修正再表示に先立ち実施されるものであり、設問の検討事項(修正再表示を行った場合の会社計算書類への影響)以前の問題といえます。

この場合の実務判断については、遡及基準の適用以前と変わりません。

 

つまり、当期の計算書類を修正再表示すべきかどうかの重要性は、

会社法上も金商法と同等のレベル(会計基準適用における重要性:Q1参照)で判断すべきと考えられますが、

過年度の計算書類が確定しているか未確定であるかを判断する際の実務判断は、分配可能利益算定の基礎となるなど、会社法の計算書類独自の機能を有しているため、会計基準適用における重要性判断とは異なってきます。

このため、上述の通り、修正再表示を行ったことで過年度の計算書類の修正が実施されるということはありません。

また、金商法において訂正報告書を提出したとしても(Q2参照)、必ずしも過年度の計算書類の修正まで必要となるとは限らないと考えられます。

 

 

税法関係

Q5.法人税の追徴などがあった場合には、修正再表示は必要でしょうか?

A5.内容および重要性によります。

 

税務調査などにより法人税の追徴等があった場合、修正再表示を要するかどうかはその内容および重要性(Q1参照)によると考えられます。そもそも法人税は見積り計算によっているわけですから、実額との間に差が出たとしても、最善の見積りが行われていたのであれば、誤謬には該当しません。

よって、修正再表示をを行う必要はありません。

 

一方、売上の計上漏れ、加減算ミス、法令の適用誤り等、見積りが明らかに誤っていたものと認められる場合には、誤謬に該当すると考えられるため、重要性によっては修正再表示を行う必要があります。

 

なお、誤謬に該当しない場合や、修正再表示を行うレベルの重要性はないと判断した場合には、従来通りの処理を行うこととなります。すなわち、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税等」の下に「過年度法人税等」などの科目で表示するか、当期の「法人税等」に含めて表示する(過年度法人税等の金額に重要性が乏しい場合)ことになります。

 

 

Q6.過去の誤謬を発見して修正再表示を行った場合、税務申告書はどのようになるのでしょうか?

A6.過去の誤謬が過年度の課税所得の誤りに連動する場合には、従来通り、修正申告などの是正手続が必要となります。

 

過去の誤謬による修正再表示は、過去に確定した決算を修正するものではありませんので(Q4参照)、過年度の課税所得の金額や税額に影響を及ぼさない場合(有税の引当金の計上不足など)には、修正申告等の是正手続は必要ありません。

 

ただし、修正再表示の原因となった過去の誤謬が、過年度の課税所得計算の誤りに連動しているような場合(売上計上漏れなど)には、修正申告、更正の請求や嘆願など、従来通りの是正手続により対応することになります。

 

なお、会社法の計算書類において修正再表示により期首残高が調整された場合で、過年度の課税所得に影響しないため修正申告等の是正手続を行わない場合には、税務申告上も、当期の申告書において、利益積立金の期首残高の調整が必要となります。すなわち、当期の法人税申告書の別表5(一)において、「期首現在利益積立金」の内訳に調整を入れ、過年度事項の修正の内容(法人税法施行規則 第35条2号ロ)を記載した書類を添付することになります。当該書類としては、計算書類を添付すれば足りると考えられます(注記表として「誤謬の訂正に関する注記」が求められているため)。

 

具体的には、国税庁より10月20日付で、『法人が「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」を適用した場合の税務処理について(情報)』が公表されていますので、こちらをご参照ください。

【リンク先】
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/111020/index.htm

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