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平成24年3月期 留意点③ 当期から必要となる連結包括利益計算書関係の注記

1.包括利益に係る注記は当期から導入

平成23年3月期末から「包括利益の表示に関する会計基準」(以下、基準)が適用とな
り、連結財務諸表において包括利益を開示しています。これは、日本基準を国際的な会
計基準であるIFRSに近付ける動き、いわゆるコンバージェンスにより導入されたものです。
3月決算の会社にとって、包括利益の表示は前期末から導入されているものですが、
平成24年3月期末から新たに「その他の包括利益に係る組替調整額」と「その他の包括利
益に係る税効果額」の注記が必要となります。
基準の適用が前期末からであるにもかかわらず、これらの注記の開示が当期末からと
なっているのは、実務上注記に必要なデータを集計するのに手間のかかるケースもあり、
そういった実務上の負担を配慮して適用初年度は見送ったという経緯があるためです。
したがって、特に初めてこれらの注記を作成する当期末には、データの収集作業にそれ
なりの負担がかかるものと考えられます。また、内容が少し複雑と思われますので、早め
の理解と準備が必要です。

 

 

2.注記の内容

 

a) その他の包括利益に係る組替調整額
まず、「組替調整額」という聞き慣れない言葉ですが、「リサイクリング」とも言われ、当期
純利益を構成する項目のうち、当期又は過去の期間にその他の包括利益に含まれていた
部分を言います(基準第9項)。これは、包括利益が二重に計上されることを防ぐための調
整金額、という意味です。
その他有価証券評価差額金でいうと、例えば、前期末に投資有価証券の時価が簿価よ
り50高かったとして、当期に前期末と同じ時価で売却したとします。そうすると、その他の包
括利益であった50が、投資有価証券売却益という当期純利益を構成する項目に変わった
ことになります。これが、「組替調整額」です。
では、同じ例で、当期に20さらに値上がりした後に70で売却したとすると、組替調整額は
50なのか、70なのかどちらでしょうか?これは、70が正解となります。つまり、当期の時価の
動きである20も、過去の期間のその他の包括利益である50と同様、組替調整額に入るとい
うことです。
当期の動きである20は、注記上、「当期発生額」として開示します。なお、これらの組替調
整額は、全て税効果調整前の金額で記載します。

 

b) その他の包括利益に係る税効果額
a)で記載した通り、「その他の包括利益に係る組替調整額」は税効果調整前の金額であ
るため、「当期発生額」と「組替調整額」を加えた金額に税効果を加えた金額は、当期のその
他の包括利益の金額と一致します。この税効果額の注記が求められています。

 

3.事例検討

例えば、その他有価証券評価差額金であれば、複数銘柄を保有していたり、リサイクリン
グも、売却損益の他に評価損処理したものがあるような場合、少し複雑になります。そのよう
な場合は、図1のような表を作成し、整理すると機械的に作成できます。
(事例)
会社の保有するその他有価証券の期中の動きが以下の通りだったとする。法定実効税率は
40%とし、有価証券売却の手数料は考えないものとする。

 

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(作成方法)
①まず、前期末及び当期末のその他有価証券評価差額金の金額を埋めます。
ここでのポイントは、金額を時価と取得原価の差額である税効果調整前で記載することです。 すなわち、繰延税金負債または繰延税金資産を控除する前の金額で記載します。したがって、 貸借対照表金額と一致するのは、税効果調整後の欄となります。また、符号は、時価>簿価の場合 すなわち評価差額金が貸方残の場合は、プラスで記入し、借方残の場合は、マイナスで記入します。

②次に、組替調整額の金額を埋めます。ここは、その他の包括利益の対象科目の中で、当期に 純損益となったものの金額であり、損益計算書の投資有価証券売却損益や、投資有価証券評価損の 金額と一致します。ここでのポイントは、損益項目が貸方の場合は、①とは逆に、マイナスで記入 します。例えば、売却益が出た場合は、貸方ですので、マイナスで記入することになります。

③あとは計算するだけで、当期発生額は差額で算定されます。これを、親会社も含め、連結して いる全ての会社分作成し、合算します。また、その他有価証券評価差額金だけでなく、繰延ヘッジ損益や、 為替換算調整勘定など、他のその他の包括利益分に関しても行います。
エクセルなどの表計算ソフトで集計し、合計の表から開示すべき金額を取ります。

 

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4.注記の開示例

仮に、上記の事例で注記を記載した場合は、以下のようになります。記載方法として、組
替調整額と税効果を別個に記載する場合と、組替調整額と税効果とを併せて記載する場合
の2通りあり、開示の際はどちらかを選択することになります。
図1の濃い線で囲った部分が開示対象となり、そのまま転記すれば注記が完成します。

 

 

以上

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